「午前中ずっと取り組んだ仕事」でも、その間ずっと手を動かしていたとは限りません。資料を整える、入力する、内容を確認する時間に加えて、別件による中断や回答待ちが混ざるからです。
作業時間を残すときは、一つの仕事を決め、開始・終了時刻と、その区間で何をしていたかを一行ずつ記録します。 最後に「実作業」「中断」「回答待ち」を別々に集計すると、自分の作業量と、完了までに必要だった時間を混同せずに振り返れます。
この記事では、表の入力例、計算結果、スマートフォンのメモや表計算へコピーできるテンプレートを紹介します。記録方法の提案であり、以下の件数と時刻はすべて説明用の架空の例です。標準的な所要時間や、導入による改善実績を示すものではありません。
最初に「何を終えたら完了か」を決める
記録の対象は「事務作業」のような大きなまとまりではなく、終わりを確認できる仕事にします。
架空の例では、次の仕事を対象にします。
作業名:資料一覧の更新
対象量:資料10件
完了条件:10件を一覧へ入力し、元資料との照合を終え、確認待ちがない状態で保存する
今回含めないこと:保存後の送付作業
「入力が終わるまで」と「確認して保存するまで」では、記録する範囲が違います。次回と比べるためにも、対象量と完了条件を先に残します。10件という数は入力例の条件で、実際の件数に置き換えて使ってください。
区分は実作業・中断・回答待ちの三つ
| 区分 | この表で記録する内容 | 例 |
|---|---|---|
| 実作業 | 対象の仕事を進めるために自分が作業した時間 | 資料準備、入力、照合、修正、保存 |
| 中断 | 対象の仕事から離れた時間 | 別件の対応、休憩 |
| 回答待ち | 回答や資料が届かず、対象の工程を進められない時間 | 不明な項目の問い合わせ後の待機 |
これはこの記事で使う区分です。勤務時間や報酬の計算ルールを定めるものではありません。
この表は一つの仕事の時系列を整理するため、同じ時刻を二重に記入しません。 回答待ちの間に別の仕事をした場合、元の仕事の表には「回答待ち/その間に別件対応」と記録します。別件側の作業記録にも時間を残すなら、二つの表を足して自分の総作業時間を求めないようにします。
問い合わせ文を書く、届いた回答を読むといった行動は、この例では元の仕事の実作業です。回答が届くまでの区間だけを回答待ちにします。
入力例:開始から完了までを一行ずつ残す
以下は、同じ日の09:00〜11:10に完了した架空の記録です。日をまたぐ場合は、開始・終了の両方に日付も付けてください。
| 開始 | 終了 | 区分 | 内容 | 時間 |
|---|---|---|---|---|
| 09:00 | 09:10 | 実作業 | 元資料と入力欄を準備 | 10分 |
| 09:10 | 09:30 | 実作業 | 一覧へ入力 | 20分 |
| 09:30 | 09:40 | 中断 | 別件の対応 | 10分 |
| 09:40 | 10:00 | 実作業 | 残りの入力と不明点の問い合わせ | 20分 |
| 10:00 | 10:15 | 実作業 | 回答が不要な項目を先に照合 | 15分 |
| 10:15 | 11:00 | 回答待ち | 残った不明点の回答を待つ | 45分 |
| 11:00 | 11:10 | 実作業 | 回答を確認し、修正・保存 | 10分 |
この例では、問い合わせ後も進められる照合作業があるため、10:00〜10:15は実作業です。「問い合わせを送った時刻から全部を回答待ちにする」と、作業時間と重なってしまいます。
区分ごとに足すと、次の結果になります。
- 実作業:10+20+20+15+10=75分
- 中断:10分
- 回答待ち:45分
- 開始から完了まで:09:00〜11:10=130分(2時間10分)
- 照合:75+10+45=130分
この記録から言えるのは「この架空の条件では、実作業75分、完了まで130分だった」ということです。次回も75分で終わる、待ち時間45分をなくせる、とまでは言えません。
コピーして使う空欄テンプレート
スマートフォンのメモ用
一行ずつ追加する場合は、次の形をコピーしてください。不要な行は消して構いません。
【作業時間の記録】
記録日:
作業名:
対象量・対象範囲:
完了条件:
今回含めない作業:
【時系列】
開始[ ]→終了[ ]/区分[実作業・中断・回答待ち]
内容[ ]/時間[ 分・不明]
開始[ ]→終了[ ]/区分[実作業・中断・回答待ち]
内容[ ]/時間[ 分・不明]
開始[ ]→終了[ ]/区分[実作業・中断・回答待ち]
内容[ ]/時間[ 分・不明]
【集計】
実作業の合計:
中断の合計:
回答待ちの合計:
開始から完了まで:
未記録・時刻が不明な区間:
区分別の合計と経過時間が一致するか:
【次回へのメモ】
今回だけ発生した条件:
先に用意できそうな資料・確認:
次回も同じ条件か確認すること:
表計算へ貼り付ける見出し
次の一行はタブで区切っています。表計算の左端のセルへ貼り付けるときに使えます。貼り付け先によって分割のされ方が異なるため、列が分かれたことを確認してください。
作業名 開始日時 終了日時 区分 内容 時間(分) 記録の補足
最初は時間を手計算して記入しても構いません。自動計算を使う場合は、時刻が文字列として入っていないか、日付をまたいでも正しく計算できるかを、少数の行で確かめます。
記録が合わないときは、数字を埋める前に確認する
終了時刻を記録し忘れた
記憶だけで正確な時刻を埋めず、その区間を「不明」とします。あとから別の記録で確かめられた場合は、確認した根拠も添えて修正します。推定値を使うなら「推定」と記し、確認済みの時間とは分けます。
不明な区間が残る場合、計算できた実作業の合計は記録できた範囲の合計です。仕事全体の実作業時間として扱わないでください。
区分別の合計が経過時間と一致しない
まず、前の行の終了時刻と次の行の開始時刻を見比べます。空白の区間、重なった区間、同じ行の重複がないかを確認します。差をなくすために実作業時間へ適当な数字を足すことはしません。
翌日まで回答が来なかった
待ち時間に夜間や休日が含まれるなら、そのことを補足します。カレンダー上の経過時間と、自分の勤務時間内の作業時間を混ぜないようにします。比較に使う範囲を変える場合は、変更したルールを残してください。
次回の予定には「今回の記録」と「今回と違う条件」を添える
一件の記録を、そのまま次回の確定所要時間にはしません。件数、資料のそろい方、確認の範囲、初めての作業かどうかなど、条件が違う可能性があるためです。
前述の架空の記録を相談に使うなら、次のように書けます。
前回の記録例では、資料10件の入力・照合・保存に、実作業75分、回答待ち45分、中断10分がありました。今回の対象量は[ ]です。前回と異なる条件は[ ]で、回答を受け取れる時点は[確認済みの日時/未確認]です。完了予定は[見込み/未定]としており、[確認事項]が分かった時点で見直します。
これは相談文の作り方を示す例です。コピーして実務で使うときは、架空の件数・時間を削除し、自分が記録した事実だけに置き換えてください。
手元の仕事全体を先に整理したい場合は、一人担当の仕事を作業単位に分ける棚卸し表を使えます。作業の順番で迷う場合は期限・影響・前提条件を比べる優先順位の整理表、提出日から準備を並べたい場合は資料収集と確認を締切から逆算する準備表を参照してください。
まずは一つの仕事を、完了まで記録する
最初から一日中の行動を細かく記録する必要はありません。終わりが分かる仕事を一つ選び、対象量と完了条件を決め、区切りごとに時刻と内容を残してみてください。
最後に確認するのは、実作業の合計、完了までの経過時間、不明な区間の三つです。記録が足りなければ、次回どこで時刻を残すかを決めます。時間短縮の数字を作るのではなく、次の予定を相談するときに説明できる記録を一件残すことを、このテンプレートの使い始めの目安にしてください。

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