表計算作業をAIで自動化する前に整理したい5項目
表計算の作業をAIに任せる前に決めたいのは、「入力データ」「照合キー」「処理ルール」「出力形式」「確認方法」の5項目です。最初から長いプログラムを作るより、手作業で判断している条件を文章にすると、依頼する範囲がはっきりします。
私は、受注データと商品情報の照合、在庫条件による抽出、別の管理画面へ取り込むためのデータ整形をAIに依頼してきました。その中には、商品コードを文字列として扱うこと、重複する候補から価格条件で選ぶこと、在庫がない行を除外することなど、作業ごとに指定する条件がありました。
この記事では、実際に依頼してきた作業の論点を匿名化して整理します。処理時間や精度の改善幅は測定結果を掲載していないため示しません。以下の記入例は説明用で、実際の取引データや社内資料ではありません。
1.入力データは「1行が何を表すか」から書く
「この表を整理して」だけでは、どの行を残すかを決められません。まず、ファイルごとに1行の意味を書きます。
- 受注表:注文された商品ごとの明細
- 商品表:商品コードと商品情報の対応
- 在庫表:商品ごとの現在庫
- 出力見本:取り込み先に合わせた列の並び
同じ商品が複数行にある場合も、すぐに重複とは決めません。別の注文、別の入荷予定、別の出荷先なら、残すべき行かもしれないためです。
依頼時には列の見出しと意味も伝えます。「右の方にある在庫列」ではなく「現在庫の列」のように、列の役割を指定します。列の位置が必要な場合は、ファイルとシート名をセットで伝えます。
実データを共有する前に、名前、連絡先、取引先、注文番号、社内の価格情報などを確認してください。最初は列名と匿名の見本だけでも、処理条件の整理を進められます。
2.照合キーと、見つからない場合の扱いを決める
私が依頼した処理には、商品コードを文字列として扱う条件がありました。商品名が似ているという理由だけで、同じ商品として扱わせないことも大切です。
照合の依頼では、次を決めます。
- どの列同士を照合するか
- コードの先頭のゼロや記号を残すか
- 空白を除くなどの補正をしてよいか
- 同じコードが複数見つかったらどうするか
- 一致しない行をどこに出すか
たとえば、コードが見つからない行は、削除したり似た商品へ割り当てたりせず、「未一致」として別に出す方法があります。これは一般的な整理例であり、すべての業務に同じルールが当てはまるわけではありません。
3.処理ルールは「条件・処理・例外」で分ける
実際に依頼した条件には、重複する候補から価格条件で選ぶことや、現在庫がない商品を対象外にすることがありました。ただし、これらは特定の作業の条件です。別の受注や発注にも、そのまま使ってよいとは限りません。
依頼内容を一般化すると、次のように書けます。
| 判断する場面 | 処理の記入例 | 先に決める例外 |
|---|---|---|
| 同じ商品コードの候補が複数ある | 指定した価格列で比較する | 同額・価格空欄のときはどうするか |
| 現在庫がない | 対象外の一覧へ分ける | 入荷予定分を含めるか |
| 商品コードが一致しない | 未一致として残す | 自動補正を許可するか |
| 必須項目が空欄 | 確認用一覧へ分ける | 空欄を許可する項目は何か |
「最安を残して」とだけ伝えると、税込・税抜、送料、販売単位などの前提が抜けることがあります。比較する列と条件を決められない段階では、自動で選ばせず、候補を並べて確認する形にすると判断を残せます。
条件が増えたら、一度に追加するより、入力確認、照合、抽出、出力の順に分けて説明します。
4.出力は、完成形の見本を先に作る
私が依頼してきた取込データの整形では、内容をまとめることに加えて、取り込み先に合わせる必要がありました。
そのため、完成形については次の点を確認します。
- 必要な列名と列の順番
- 商品コード、日付、数量などの書き方
- 空欄とゼロを区別するか
- 見出し行を含めるか
- 元の明細を残すか、商品ごとに集約するか
- 対象外・未一致の一覧を別に作るか
取り込み先の指定がまだ分からない場合は、使える形式を推測で決めず、確認用の表を先に作ります。元ファイルは残し、出力は別のファイルやシートにすることも、依頼文に含めます。
5.確認方法を、プログラムの作成前に決める
見た目が整った表でも、対象の行が正しく残っているかは別に確認します。一般的な確認方法として、次のような項目を用意できます。
- 処理前の明細が、出力・対象外・要確認のどれかに入っているか
- 同じ明細を重複して出していないか
- 代表的な一致行と未一致行を見比べたか
- コードの先頭のゼロや記号が残っているか
- 集約する場合、数量などの合計が想定どおりか
- 少量の見本で確認してから全体へ進めたか
件数や合計が一致するかを見るときも、集約や行の展開を行う処理では、処理前後の行数が同じになるとは限りません。何を照合すれば正しいと判断できるのかを、作業に合わせて決めます。
未一致や例外を推測で埋めさせず、確認用の一覧として受け取ると、判断が必要な箇所を見つけやすくなります。
スマホから送れる依頼文の記入例
以下は、今回紹介した考え方を使った説明用の例です。作業条件に合わせて直して使ってください。
目的: 受注明細と商品情報を照合し、確認用の表を作りたい。
入力: 受注表、商品表、在庫表。各表の列名と匿名の見本を別途示す。
照合キー: 指定した商品コード列。文字列として扱い、先頭のゼロを残す。商品名の類似では照合しない。
処理ルール: 一致した行、未一致の行、候補が複数ある行を分ける。未確定の条件は推測で補わない。
出力: 元ファイルを残し、指定した列順で別の表を作る。
確認: 少量の見本で、通常行と例外行の処理結果を示す。確認後に全体を処理する。
完了状態: 出力結果と、対象外・未一致・要確認の一覧を受け取る。外部への送信や本番取込は行わない。
依頼全体の目的や完了条件を整理する方法は、AIに作業を任せるときの依頼テンプレートにもまとめています。
まずは一つの表、一つの判断から始める
最初に試す範囲は、「このコードが別の表にあるかを確認する」など、一つの判断に絞れます。確認できたら、未一致の出力や在庫条件などを順に足します。
また、表の整形と外部サービスへの接続は、別の工程として確認します。接続で止まった場合は、保存した認証情報が自動処理で使えないときの確認手順が参考になります。
まとめ
表計算作業をAIで自動化する前に、入力データ、照合キー、処理ルール、出力形式、確認方法を決めます。特に、未一致・複数候補・空欄をどう扱うかを先に書くと、AIへ任せる範囲と、自分で判断する範囲を整理できます。
私が依頼してきた照合やデータ整形にも、コードの文字列扱い、候補選択、在庫条件などの指定がありました。読者の作業でも同じ条件が正しいとは限りません。匿名の小さな見本から始め、元データを残し、例外を確認できる形で進めてください。

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